氷食症:氷を食べずにはいられない

 

かき氷が恋しい、飲み物に入っている氷の冷たさがありがたい。

夏なら当たり前の感覚だけど、もし、その氷好きが度を超えたものだったら?

氷をガリガリかじるのが好きで、どうにもやめられない、そんな人は要注意です。

むやみに氷が食べたくなるのは、もしかすると、鉄欠乏のサインかもしれないです。

氷を食べるのが病気だなんて、普通はちょっと考えにくいものです。

氷食症とは?

氷食症とは、土や石、チョークなど栄養もないものを脅迫的に食べずにいられなくなる病気の一種です。

1日に製氷皿1トレイ分以上の氷を食べるというのが、氷食症の一応の定義です。

口の中で溶かすのではなく、ガリガリとかじるんです。

患者さんのなかには、コンビニで売っているロックアイスを1日に4袋食べ続けていた人もいます。

血液検査をしてみると、そんな氷食症の患者は、ほぼ全員鉄欠乏症です。

なぜ氷食に結びつくかについては諸説ありますが、有力な仮説は、熱い口の中を冷やすために氷を求めるというものです。

鉄の不足に伴って局所の自律神経バランスが崩れ、口中の温度が上がるのでないかと考えられています。

でも体はムリしちゃうんです。

鉄欠乏が進んで、血色素値が減っていっても、案外自覚しにくいものです。

それは、代償機構が働くためです。

ヘモグロビンには酸素を運ぶという大事な働きがあるのですが、不足してくると酸素を大盤振る舞いしはじめます。

だから、体はけっこう耐えられてしまうんです。

で、気づいたときには血色素値が正常な量の半分を切ってしまっているということもあります。

鉄の分布と働き

成人女性の体内には約2500mgの鉄が存在しており、そのうち約67%が血液中のヘモグロビン(血色素)に含まれ、27%が肝臓などに蓄積されています。

1日に食物から摂取できる鉄は1~1.5mgです。

一方、喪失する鉄は、皮膚や腸から約1mg、女性はさらに生理で0.5mgです。

どうしても失うほうが多くなり、鉄不足に陥りがちです。

そうなったら、いわば鉄の貯金箱である、貯蔵鉄から補充していきます。

とはいえ、マイナスバランスが続けば、貯金も底をついてしまいます。

通常、病院で行われる血液検査で鉄欠乏性貧血と診断されるのは、貯蔵鉄が空になり、血色素値が50%を下回る段階になってからです。

でも実際は、日々の不足を補う貯蔵鉄がなくなったあたりからが、”貧血のない鉄欠乏症”という段階です。

氷食症が出始めるのは、まさにこの頃です。

ちなみに、血液中の”血清フェリチン”の値を調べれば、隠れた鉄欠乏が明らかになります。

食事では、なかなかリカバーできません。

体内の鉄の半分、約1200mgが失われたとすると、これは食物からの摂取量の800日分に相当します。

食事で急に補うのはムリです。

ひじきなど植物の鉄は吸収されにくく、赤身の肉や魚など吸収されやすい動物の鉄にこだわって摂りすぎると栄養のバランスが崩れます。

鉄が不足しないように注意したいです。

ちなみに鉄が吸収されにくいのは毒素でもあるからです。

一定量以上は取り込まないよう、体が自然にブロックしています。

鉄が欠乏するとどうなる?

通常の血液検査では、貧血ではないとスルーされてしまう段階から、鉄の欠乏によって体にはさまざまな症状が現れます。

エネルギーが十分に作られず、持久力が低下、朝起きられなくなったりします。

また、脳の活動をサポートできず、記憶力や集中力、理解力が落ちたりすることもあります。

貧血までいかなくても、女性の約4割は鉄欠乏の状態にあると考えられます。

もちろん、その全員が氷食症になるわけではありませんが、これだって、けっして珍しい症状ではありません。

氷食症は何科で相談?

一般の内科では認知度の低い氷食症。

相談するなら産婦人科へ。

妊娠すると胎児にかなり鉄分をとらえるので、産婦人科医は鉄欠乏の患者をかなり多く診ています。

その分理解されやすいはずです。

医師の診断を受け、処方された鉄剤を服用するのがベストだけれど、市販の鉄サプリメントでも◎です。

症状が治まっても、続けて1ヵ月半くらは飲むようにしましょう。